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【コラム005】よりよい空間環境をめざして(金田一清香)

日本全国の天気予報を見ると、南と北では最高気温が10℃以上違う日があり、驚くことがあります。省エネルギー法では全国の市町村を、最も寒冷な「1」から最も温暖な「8」に区分しています。広島県だけでも「3」~「6」の地域が分布し、バラエティに富んだ気候が見られます。多彩な気候風土がその土地固有の建築を生み出し、さらには人々の暮らしを育んできました。一般に人の汗腺の数は幼少期に決まるそうで、北海道の地域「1」で育った私にとっては広島の夏の暑さは明らかに身体能力を超えており、当初はよく夏バテを起こしていました。それが十年以上たち、最近はさほどではありません。これは加齢による鈍感力か、はたまた順応といってよいものか、というところですが、ちょうど先日参加した学会で「熱的履歴」という言葉を知りました。生育環境だけでなく、長年の暮らしの過程で暖かさや涼しさの感じ方が更新されていくことを表すそうです。本来、心地よい空間は、何か高性能な素材や機械を投入すれば実現するという類ではないわけで、住まい手がその土地の風土に順応する中で生み出す個性が、もっと表れてよいように思います。そのための橋渡し役となるような建築や設備のありかたを考えています。

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