【コラム004】建築のリアルとメカニズム(角倉英明)
建築生産・建築構法。これらが私の専門分野なのだが一般の方には想像しにくいかもしれない。とういことで、今回は私の専門分野を紹介したい。
建築の世界では、地震などに耐える方法や長く使い続けられる材料の開発、省エネルギーを向上させる手法などのさまざまな技術や理論が日夜進歩し、時に革新的なものも創り出されている。しかし、私たちの目の前にある建物を想像して欲しい。ひとつとして同じものはないし、最先端の技術や理論などが理想的に使われているわけでもない。理想と現実には少なからず距離があり、離れたり近づいたりしている。なぜならそれは費用、ルール・法制度、地域、習慣・伝統などの制約が現実にはあるからだ。
だからこそ実社会で建築が普段からどのようにつくられている(つくられてきた)のかを解き明かしていかねばならない。建築のつくられ方とそのメカニズムを知ること。これがさまざまな制約の中で豊かな建築をつくる手がかりを与えてくれる。
さて、学問として、建築のつくられ方をどのような視点でとらえているのか。それは2つある。ひとつはつくるという行為・プロセス、もうひとつはその結果としてできあがった物理的な構築物。つまりものづくりとしての建築をコトとモノという面から解き明かそうというものだ。簡単に言えば、前者が建築生産、後者が建築構法となる。
現実の社会における建築のものづくりをたずねて新しきを知る。建築のリアルとそのメカニズム。これほどワクワクすることはない。私だけ?…そんなわけないよね笑